AGEとは、終末糖化産物すなわち「タンパク質と糖が加熱されてできた物質」のこと。強い毒性を持ち、老化、を進め、発病の原因物質とされています。老化と言えばお肌のシミ・シワや認知症などですが、それだけでなくAGEが血管に蓄積すると癌、心筋梗塞、脳梗塞、骨に蓄積すると骨粗鬆症、目に蓄積すると白内障の一因となりAGEは美容のみならず全身の健康に影響を及ぼしています。体のあちこちで深刻な疾病を引き起こすリスクとなるAGEを体内に溜めない生活・減らす生活を送ることが大切です。
AGEが体内に蓄積される仕組み
1)体内で作られるAGE
AGEは、2通りの仕組みで体内に溜まっていきます。一つ目は、体内で作られるAGE。血中のブドウ糖が過剰になってあふれ出すと人間の体の細胞や組織を作っているタンパク質に糖が結び付き、体温で熱せられ「糖化」が起きます。こうしてタンパク質と糖が加熱されてできた物質=AGEができるのです。体内のタンパク質が糖化しても初期の段階で糖の濃度が下がれば元の正常なタンパク質に戻ることができます。しかし高濃度の糖がある程度の期間さらされると毒性の強い物質に変わってしまい元に戻れなくなります。
2)食べ物から体内に入るAGE
もう一つは外から取り込むAGE。タンパク質と糖が加熱されてできた物質は、いろんな食べ物、飲み物の中に含まれ、私たちは食事や間食として取り込んでいます。例えばホットケーキを作るのに小麦粉、卵、牛乳(タンパク質)をミックスして加熱するとできますが、ホットケーキ表面のキツネ色になっている部分こそが糖化した部分で、ここにAGEが発生しています。こうした飲食物に含まれるAGEの一部は消化の段階で分解されますが約7%は排泄されずに体内に溜まってしまいます。
老化の速度を決める方程式「AGEの量=血糖値×持続時間
体内でできるAGEの量は、「血糖値×持続時間」で表すことができます。血糖値が高いほど体の中で糖とタンパク質が結び付き多くのAGEが発生します。また糖にさらされる時間が長くなるほどAGEは溜まり続けるのです。そしてAGEを多く含む食べ物を頻繁に食べると蓄積量が増えていきます。
AGE(終末糖化産物)が及ぼす影響
タンパク質は人間の体内のいたるところに存在するため、どの臓器を構成するタンパク質がAGE化(糖化)するかにより様々な病気になります。
メタボリックシンドロームの悪循環
内蔵型肥満で、かつ高血圧、高血糖、脂質異常症のうちの2つが当てはまる状態をメタボリックシンドロームと呼びます。AGEはメタボの早い時期から体内で作られると考えられています。AGEは内臓脂肪を悪玉化させ血糖値を上昇させます。そして血糖値が上昇すればAGEはそれだけ体内に多く発生するという悪循環が生まれます。
肌は弾力が失われシワやたるみが
肌のハリや柔らかさを保っているのはコラーゲンなどのタンパク質です。肌のコラーゲンは加齢により長い年月をかけてジワジワと体温で加熱されていきます。そうすることでAGE化(糖化)が進み、太陽の紫外線も影響しコラーゲンが変質すると弾力性を失いシワやたるみが出てきます。またAGEは褐色のためAGE化(糖化)が進むとシミやくすみも発生してしまうのです。
血管が硬くなり動脈硬化を起こす
コラーゲンは血管内側の内皮細胞と外側の平滑筋細胞の間にも存在しクッションのような役割を果たしています。このコラーゲンがAGE化(糖化)すると血管の弾力性が失われ厚く硬くなり血栓を作りやすくし全身の血管で動脈硬化を起こします。動脈硬化が進行すると脳梗塞や心筋梗塞などの重病に至ることも有ります。
骨をもろくし、骨粗しょう症をひき起こす
コラーゲンは骨にも多く存在しています。骨のコラーゲンがAGE化すると骨の強度が下がり骨粗しょう症になります。またAGEにより破壊された骨はカルシウムとして血中に溶け出し血管の中で石灰化し動脈硬化のリスクにもなります。
目の水晶体を濁らせ白内障を起こす
水晶体は、クリスタリンというタンパク質でできています。クリスタリンがAGE化すると紫外線による酸化と相まって水晶体が白く濁り白内障を起こします。28日サイクルでターンオーバーする肌のコラーゲンや2~10年周期で入れ替わる骨のコラーゲンと違いクリスタリンは一生、新陳代謝されないタンパク質なので時間経過とともにAGEが蓄積していきます。
脳内のタンパク質を変質させアルツハイマーを引き起こす
脳内のタンパク質がAGE化するとその中にβアミロイドというタンパク質に変質するものが出てきます。立体構造に変質したβアミロイドは組織に沈着しやすく老人班と呼ばれる斑点を作ります。この斑点が広がると神経細胞を死滅させアルツハイマー型の認知症を引き起こします。
糖尿病では全身に合併症を起こす可能性が
糖尿病患者さんは、高血糖状態が続いているため大量のAGEが蓄積されています。糖尿病の診断基準のヘモグロビンA1cも赤血球のタンパク質であるヘモグロビンが糖化してAGEに変化する一歩手前の中間糖化物質です。そしてAGEは糖尿病の3大合併症の神経障害、網膜症、腎不全などにも悪影響を及ぼします。
AGE(終末糖化産物)を増やす生活・減らす生活
AGEは血中のブドウ糖が過剰になると人間の体内で発生します。ゆえにAGEを体内で発生させないためには血糖値を上げないことが大切です。
1)良く噛み、会話などを楽しみながらゆっくり食事する
2)野菜、肉・魚、ご飯・パンの順に食べる
3)腹八分目に
4)甘いものが食べたいときは食後に
5)食後に身体を軽く動かす
6)ストレスをため込まない
AGEの多い食品・少ない食品
AGEの多い食品
焼き目のついた食品はAGEが多いことを目安に!トンカツ、唐揚げ、ステーキ、焼き鳥などの揚げたり、焼いたり、炒めたりした動物性脂肪食品には特にAGEが多く含まれます。またポテトチップス、フライドポテト、タバコにもAGEが非常に多く含まれます。
AGEの少ない食品
AGEはタンパク質と糖が加熱されてできた物質ですから生野菜や刺身など生の食品はAGEの少ない食品と言えます。しかし、生の物は、東洋医学的にはあまり良い食品とは言えません。
調理温度によりAGE値は変わる
AGEは、加熱する温度が高いほどより多く発生するという特徴があります。揚げ物や炒め物は油の温度が170℃~200℃、オーブン焼きは200℃~240℃と高いためAGEが大量に発生します。一方、ゆでる、蒸す、煮るといった調理法は水分を使うため100℃までの加熱に抑えられ発生するAGEも少なくなります。例えば同じ鶏肉料理でも焼き鳥は水炊きの6倍、唐揚げは10倍ものAGEが発生するのです。揚げ物や炒め物ばかりを好んで食べるとAGEが体内に溜まっていきます。バランスよく食べましょう。
清涼飲料水はAGEを増やす
ジュースや炭酸飲料、お菓子、缶詰などの甘味付けに使われる甘味料は、ブドウ糖の10倍の速さでAGEを作るため、取り過ぎないように。成分表示に果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖、異性化糖などと書かれている場合は、注意が必要です。